起業後数年で企業が倒産してしまい、長期的に存続できる企業は少ないです。
それは、福祉施設や介護施設などの経営に関しても同様のことが言えます。
老人ホームなどの福祉・介護事業の倒産は2016年に91件という過去最多の数値が出ています。
今後も倒産してしまう老人ホームが増えてくると考えられていますが、
このような事態に陥った時、入居者はどうなってしまうのでしょうか。
ここでは、介護施設の企業が倒産してしまう背景と入居者の状況について解説していきます。
なぜ倒産する老人ホームが増えてきているのか
2000年の介護保険制度が開始されたことをきっかけに、
今後高齢者の人数が増えこれからは介護事業で利益が得られる時代という考え方が多くなってきました。
介護とは無縁の不動産事業や地主なども介護事業に参入することが多くなったのですが、知識や経験が不足しているケースも多く、介護事業にとって一番重要な優秀な人材が集まらないという状態に陥ってしまったようです。
そういった老人ホームには、ケアマネジャーも入居を勧められないので、入居率の低下やスタッフの削減などによって経営が悪化してしまうことになります。
さらに、2006年には改正介護保険法が施行されたことで介護事業に大きな打撃を与えてしまうことになりました。
介護報酬が引き下げられて利益率が低下し倒産してしまう老人ホームが増えたことも原因の一つと言えるでしょう。
老人ホームは倒産したら入居者はどうなる?
事業譲渡が行われていれば、ほとんどの老人ホームでは入居者はそのままそこで生活することができます。
しかし、老人ホームの施設を引き継ぐ企業があらわれなかった場合は、老人ホーム自体が閉鎖されてしまうことになるので、入居者は間違いなく退去を余議なくされてしまうでしょう。
倒産した老人ホーム側が新しい入居先を紹介してくれる可能性もありますが、紹介先の老人ホームが遠方な地域だったり、異なる事業形態になってしまうといった不安要素が残ってしまいます。
これまで無料で利用できたサービスが有料になってしまったり、サービス自体がなくなってしまうことも考えられるので、入居者の負担は少なからず発生してしまうでしょう。
入居先の施設が倒産してしまうと思わぬトラブルに巻き込まれてしまうかもしれません。
老人ホーム選びをする際は、開設年月日や職員数、介護の質など安定した経営が維持できている施設を選ぶようにしましょう。