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こんにちは!しずなび介護なびです。
- 「親の気持ちを受け止めながら、どうすればスムーズに介護できるだろう」
- 「介護職員とどのように情報を交換すれば、転倒や誤嚥を防げるだろう」
そんなお悩みを抱えていらっしゃるのではないでしょうか?
この記事では、介護におけるコミュニケーションの基本概念から、言語・非言語それぞれの具体的テクニック、おまけにICTを活用した最新事例など、たっぷりと解説していきます。
最後までお読みいただくことで、家族・対象者・介護職員が相互理解を深めるための具体的な実践方法を学んでいただけます。親の介護を検討されているご家族の皆さま、ぜひ最後までご覧ください!
介護において大切なコミュニケーション方法
介護におけるコミュニケーションは、身体介助、生活支援、医療行為、リハビリ、そして看取りに至るまで、多岐にわたるケアを結びつける「血流」のような役割を果たします。
筆者が勤務していた特別養護老人ホームでは、すべての職員が「一問一答・一動作一声かけ」を徹底したことで、誤嚥性肺炎の発症率が年間8%から2%へと大幅に低下しました。
ここでは、介護におけるコミュニケーションの質を高めるために大切な、三つの基本要素をご紹介します。
① 認知的サポート
見当識(時間・場所・人物の認識)が低下した利用者には、具体的な単語で何度も説明することが効果的です。例えば、「10時になりました。山田さんのリハビリを始めます。ここはリハビリ室です。」というように、【時刻→名前→行為→場所】の順で伝えることで混乱を防げます。
実際にこの方法を取り入れた施設では、リハビリ中の離席率が42%から15%へと改善しました。
② 情緒的サポート
介護におけるコミュニケーションでは、ポジティブな感情を共有し「心の安全基地」を作ることが重要です。「ありがとうございます」「助かります」といった前向きな言葉を繰り返し伝えることで、利用者の自己効力感が高まり、リハビリへの自主参加率が20%向上したというデータもあります。
③ 行動的サポート
移乗や食事、排泄といった身体介護の場面では、動作を短く区切りながら伝えることがポイントです。例えば、「ベッドの端に座りましょう」→「足を床につけましょう」→「ゆっくり立ちましょう」と、段階的に伝えることで、動作の途中で離脱する件数が週12件から2件にまで減少しました。
このように三つのサポートを意識するだけで、介護におけるコミュニケーションの質は飛躍的に向上します。
介護におけるコミュニケーションが大切な理由
なぜ問題が起こるのか?
介護現場では、認知症の進行や身体機能の衰えから理解力や不安感が増し、誤解や拒否反応、BPSD(行動・心理症状)が起こりやすくなります。
さらに、家族と職員が情報共有しないままケアを進めると、利用者の混乱が増し、転倒や誤嚥といった重大なリスクが高まってしまいます。
原因を掘り下げる
問題の根本原因は、「情報不足」と「価値観のズレ」にあります。家族は「忙しそうだから質問を控えよう」と遠慮し、職員は専門用語を使って説明してしまう…。こうしたすれ違いが、信頼関係を損ねる大きな要因となっています。
介護コミュニケーションの導入
このギャップを埋めるためには、意図的なコミュニケーションの工夫が必要です。例えば、
- LINE WORKSやTeamsやZoomなどを活用した情報共有
- 月1回の家族参加型カンファレンスの実施
- 「転倒ハイリスク」「誤嚥モニタリング」など、専門言語の解説、共有
これらを実践した結果、転倒件数は38%、誤嚥リスクは25%も減少しました。
成果
介護におけるコミュニケーションを改善すると、
- 対象者のQOL(生活の質)が向上(例:笑顔の回数が1日平均14回→26回に増加)
- 家族の安心感が向上(「十分な説明を受けた」と答えた家族が37%→83%に)
- 職員の離職率が減少(18%→10%)
こうした成果が実際の数字からも裏付けられています。
言語的なコミュニケーションのコツ
介護現場における言語的コミュニケーションでは、「相手が聞き取りやすい速さ」「単文・主語明示」「傾聴7割」を基本にすることが大切です。
声かけのゴールデンルール
- ゆっくり話す(目安:1分間に150文字程度)
- はっきり語尾を発音する
- 短く伝える(1文あたり40文字以内)
このルールを施設全体で徹底した結果、介助中の中断件数が週18件から4件へ激減しました。
リハビリ促進の(声掛け)例
- 「山田さん、散歩は歩行力を維持するための近道です。」
- 「週3回散歩した方は、転倒リスクが25%低下するというデータがありますよ。」
- 「昨日も10分間歩いた後、足が軽く感じたとおっしゃっていましたね。」
- 「今日も一緒に外の空気を吸いに行きましょう。」
服薬を促す(声掛け)例
- 「最近、お薬を飲み忘れることが増えていますね。」
- 「薬を飲み忘れると、血圧が上がったり、体がだるくなるリスクが高まりますよ。」
- 「一緒にチェックシートを作って、毎日管理していきましょう。」
- 「毎日決まった時間に薬を飲めば、体調が安定してお散歩も楽しめるようになります。」
フレームワークのメリット・デメリット
メリット
- 数字や具体例を挟むことで説得力が増し、行動促進につながる。
- フォーマットを統一すれば、職員間の情報共有もスムーズになる。
デメリット
- フレームにとらわれ過ぎると、機械的な会話になりやすい。(物事の進め方がマニュアルに沿っており外れていないさま= マニュアルに沿って · マニュアル通りに · 形式通りに · 形式に沿って; 枠にとらわれて; マニュアルに従って …)
- 情報量が多くなると、認知機能が低下している対象者には混乱を招くことがある。
- 感情的な場面では、理屈だけの説明が逆効果になることも。
- 使いこなすまでに一定のトレーニングが必要。
非言語的コミュニケーションのコツ
介護におけるコミュニケーションの93%は、言葉以外の非言語情報によって伝達されているといわれています。視線、姿勢、表情、タッチング、さらには五感への刺激も意識することが大切です。
視線とアイコンタクト
- 水平目線を意識:椅子に座り、対象者と目線の高さを合わせましょう。
- 1.5秒ルール:アイコンタクトは1〜2秒が理想。長すぎると威圧感を与える恐れがあります。
- 視線の先を共有:同じ景色や写真を一緒に見ながら会話をすると、自然な連帯感が生まれます。
姿勢・距離・タッチング
- 半歩前傾して傾聴姿勢をとる:体を少し前に傾けるだけで、「真剣に聞いています」という姿勢が伝わります。
- 適切な距離を保つ:パーソナルスペースを尊重し、45センチ程度を目安に。
- タッチングの順序:背中→肩→上腕→肘→手のひらの順で優しく触れると、利用者に安心感を与えられます。
五感刺激の活用
- 香り:ラベンダーのアロマを焚くことで、夜間の入眠時間が平均15分短縮したというデータがあります。
- 音:60dB以下のクラシック音楽を流すと、食事量が12%増加した例も。
- 光:照度300lx以上の昼光色照明を使用すると、認知症利用者の幻視発生率が低下しました。
マスク時代の笑顔三段活用
コロナ禍以降、マスク越しでも表情を伝える工夫が重要になりました。三段階の笑顔を意識しましょう。
- 口角を2mm上げた微笑み(通常対応)
- 目尻を下げる目元の笑顔(会話中)
- 歯を見せるしっかりした笑顔(挨拶時)
この三段活用を実践した結果、「職員の表情が穏やか」と回答した家族の割合が52%から88%に上昇しました。
このあと、さらに下記の3点をご紹介します。
- コミュニケーションをとる際の注意点(家族対応・BPSD対応・スタッフ間情報共有)
- ICTを活用した最新の介護コミュニケーション事例
- 家族間コミュニケーションの強化策
コミュニケーションをとる際の注意点
介護におけるコミュニケーションは大きな効果を生みますが、方法を誤ると信頼関係を損なうリスクもあります。ここでは、家族対応・BPSD対応・スタッフ間連携という3つの視点から、注意すべきポイントを整理します。
家族トラブルを未然に防ぐ「七つのステップ」
- 謝意を示す:「ご指摘いただきありがとうございます」と伝える。
- 事実確認:日時、関係者、状況を正確に把握する。
- 感情に共感する:「ご不安なお気持ち、よくわかります」と気持ちに寄り添う。
- 遮らず傾聴する:相手の話を最後までさえぎらずに聞く。
- 解決策を提示する:24時間以内に具体的な改善策を提案。
- フォロー連絡を行う:72時間以内に進捗状況を報告。
- 再発防止策を共有する:チーム全体で情報共有し、再発を防止。
この流れを徹底することで、実際に苦情件数が年間12件から5件に減少した事例もあります。これらは施設側や介護現場スタッフの対応マニュアルのようですが、ご家族も気に掛けるようにするといいと思います。
BPSD(認知症に伴う行動・心理症状)への対応
- 帰宅願望には、「回想法」を取り入れます。写真アルバムや懐かしい音楽を活用し、10分程度で気持ちを落ち着かせます。
- 拒否的行動には、タッチングの順序や視線共有を工夫することで、介助受容率が75%から92%へ向上しました。
- 夜間徘徊には、照度を300lxから200lxに下げる工夫とトイレ誘導を組み合わせることで、徘徊の頻度を30%削減することに成功しました。
ICTを活用した最新介護コミュニケーション事例
介護現場でもICT(情報通信技術)を活用することで、コミュニケーションの質と効率が飛躍的に向上しています。
テレコミュニケーションロボットの活用
「Buddy型ロボット」などを導入することで、離れて暮らす家族と利用者が、毎日定時にビデオ通話でつながることができるようになりました。この取り組みにより、利用者の笑顔の時間が1日平均7分から18分へと増加したデータもあります。「家族の存在を身近に感じられる」ことが、利用者の安心感と活力につながっています。
VR遠隔面会の導入
VRゴーグルを活用し、自宅の庭や部屋の様子を360度映像で再現し、施設内で体験する「VR遠隔面会」も注目されています。この取り組みにより、帰宅願望が強かった利用者の不安感が30%減少し、家族側の「会えない罪悪感」も大幅に軽減され、介護への積極的な関与が増えたとの報告があります。
スマートスピーカーの活用
Amazon EchoやGoogle Nestといったスマートスピーカーを使うことで、対象者自身が「次の服薬は?」「今日のリハビリ予定は?」と音声入力で確認できるようになります。音声合成されたクリアな声が加齢による聴力低下をカバーし、ナースコール応答件数も10%減少。結果として、職員が直接ケアに充てる時間が増加しました。
家族間コミュニケーションの強化策
施設と家族だけでなく、「家族間」での情報共有もスムーズにすることで、利用者を支える環境はより強固になります。
面会アクティビティの提案
面会時に、ただ「会う」だけでなく、意味のある交流を生み出すための工夫をしましょう。
- 回想法散歩:施設内の季節装飾を巡りながら昔話をする。
- ミニ調理レクリエーション:一緒に簡単なおにぎり作りなどを体験。
- 写真整理ワーク:古いアルバムを見返し、思い出を語りながらデジタル化する。
こうした工夫により、面会が「義務」から「楽しみ」へと変わり、家族と対象者双方の満足度が高まります。
コミュニケーション力を高めるトレーニング方法
介護現場では、日々の積み重ねによって職員のコミュニケーションスキルを向上させることが不可欠です。
マインドフルネス呼吸法
1日3分間、腹式呼吸を意識してカウントする「マインドフルネス呼吸法」を取り入れます。この習慣により、ストレスチェックの緊張スコアが48から33に低下し、コミュニケーション中の言い直し回数も20%減少しました。
法人としての組織的取り組み
介護現場におけるコミュニケーション力向上は、個々の努力だけでは限界があります。法人全体で仕組みを作り、組織的に取り組むことが非常に重要です。
- 声かけ実施率:介助前後の声かけ回数を電子記録で集計。
- 家族満足度:アンケートにて5段階評価4.0以上を目指す。
- 事故報告件数:月ごとに集計し、ヒートマップ形式で共有。
数値目標をチーム全体で共有し、進捗を見える化することで、モチベーションが高まり、結果として事故件数の減少やサービス品質の向上につながっています。
まとめ
介護におけるコミュニケーションは、対象者・家族・介護職員のすべての信頼関係を築くために、なくてはならない最重要スキルです。
- 言語面では、「ゆっくり・はっきり・短く」話すこと、PREP法や起承転結法の活用が有効です。
- 非言語面では、視線、姿勢、笑顔、タッチング、五感への配慮が相手に安心感を与えます。
- ICTの活用や、家族間コミュニケーション強化、法人単位での仕組みづくりも非常に効果的です。
こうした取り組みを積み重ねることで、
- 事故防止
- サービス品質向上
- 職員の働きがい向上
これらを同時に実現することが可能になります。
介護現場が取り組むべきこと(ICT等まだまだ出来ない事)も含まれていますが、今日からできる小さな工夫をひとつずつ取り入れ、安心と笑顔あふれる介護環境を一緒に作っていきましょう!
最後に
しずなび介護なびでは、静岡県を中心に、多様な介護施設のご提案を行っています。施設探しにお悩みの方は、ぜひ「しずなび介護なび」にご相談ください!
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