老人ホームに入居することを考えてネットなどで調べていると、身体拘束をする老人ホームが存在すると聞いて不安になった方も多いのではないでしょうか?
実際の介護現場では原則禁止とされている身体拘束は、なぜ行われるのでしょう。
今回は、老人ホームの身体拘束について解説していきます。
老人ホームなどの介護における身体拘束とは?
身体拘束とは、身体の自由を奪うために腕や胴体などを拘束したり、行動制限させることを言います。
例えば車椅子から立ち上がれないように紐やベルトなどで固定したり、ベッドから起き上がれないように胴体を拘束帯で固定したりする行為です。
また、直接身体を固定しなくても本人が立ち上がる際、部屋から出る際などにはブザーが鳴るといった徘徊を抑制するものなど、本人の意思とは関係なく行動が制限されるものも身体拘束にあたる場合があります。
認知症が進行した方は判断力や記憶力が衰えていくため、普通の方ならば危ないと判断して回避する行動が取れず、事故に遭ったり怪我をしてしまうケースがあります。
危険回避能力が衰えているからと言って、全ての認知症の方の身体拘束が行われるというわけではありません。
しかし、実際の老人ホームなどの介護現場では重度の認知症で拘束しなければ本人はもとより周囲の入居者、スタッフの安全が保たれないという場合もあります。
そのような場合に、必要最低限の拘束が行われることがあるのです。
老人ホームではどんな状態の時に身体拘束が行われるの?
身体拘束は「緊急時に止むを得ない場合」に行うことが原則です。
拘束以外に本人や周囲の安全を保つことができない場合や、事故につながる可能性が極めて高い場合に限り、身体拘束は必要と判断されます。
また、身体拘束を行う際には、職員1人の意見だけではなく複数の職員とのカンファレンスなどで必要性について話し合い、さらには家族の同意を得られなければ行うことはできません。
そのため、許可なしに突然拘束されるようなことはないのです。
身体拘束自体は「しない」ことが一番良い手段ですが、老人ホーム内で行われる介護は24時間365日続くものです。
入居者1人に1人以上のスタッフが1日中介護を行うというのは、人手不足など様々な面からも非常に困難であると言えます。
そのため、入居者の状態をよく見た上で、必要性に応じて最低限の拘束を行う場合もある老人ホームは、身体拘束を全く行わない老人ホームよりも、事故や怪我を未然に防げるという考え方もできるでしょう。