老人ホームに入居する高齢者の中には、認知症が進んでしまい自分で判断する能力が衰えている方もいらっしゃいます。
その際には周囲の方が後見人となって、その方の財産を守ることができる制度を「成年後見制度」と言います。
近年は、老人ホームに住む自立した方でも自分自身の終活として成年後見制度の知識を得たいという方も増えているのです。
また、老人ホームに入居している方でもすでに後見人がいるという場合もあります。
今回は、成年後見制度を利用する前に知っておくべきポイントをご紹介しましょう。
成年後見制度には、自宅や老人ホームなどに住んでいる高齢者の方で、自分で判断できる能力がまだあり後見人を事前に選択できる「任意後見制度」と、市区町村などの自治体や家族などの希望に沿って家庭裁判所が選ぶ「法定後見制度」の2つが存在します。
認知症などで判断する能力が不可能になった場合を想定し、判断能力がまだ備わっているうちに、自己判断で任意後見人を選択することができる制度を言います。
最低限守らなければならない制限はありますが、他には特に制限がないため家族や弁護士、司法書士などを選択することもできます。
後見人が身内の際には報酬を支払う必要はありませんが、弁護士や司法書士などの場合は契約という形を取るため、報酬を支払う必要があります。
法定後見制度とは、老人ホームやグループホームなどに住む認知症などが進んだ脳障害や精神障害、知的障害などにより、自己判断能力が不可能になった方に向けた制度です。
家族や親戚、民生委員や自治体の役員などが、家庭裁判所に後見人の選任申し出を行うことで成年後見人を選ぶ制度です。
また、身寄りのない方や家族の後見人では問題があるという場合には、弁護士や司法書士、社会福祉士などを選出することもあります。
自宅や老人ホームで使用する日用品などの購入をはじめ、本人の意思決定によるべきものがあります。
これらは基本的に本人の意思を尊重しますが、認知症などにより本人が判断できない場合は、家族や親族が後見人に助言をするなど、その時々で適切な対応が必要となるでしょう。
成年後見制度について老人ホームでもうすでに契約をしている方の話を聞くことも有効な手段ですが、本人の住む地域の家庭裁判所や自治体の高齢者福祉課、社会福祉協議会、地域包括支援センターなどに相談しましょう。
申し立ての際の費用は1万円程ですが、診断書や鑑定費用なども含めた場合は20万円近くかかる場合もあります。
成年後見制度は、ただ財産の管理や維持を行うだけではなく、被後見人の生活を安定・向上させるために老人ホームなどで生活させるなどその財産を有効活用しなくてはなりません。
本人の意思を尊重し、成年後見制をよく理解した上で利用を検討するように心掛けましょう。
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